和室について
近年、生活スタイルの欧米化やコストの高さなどの理由で、”和室”は減少傾向のようですね。
日本の風情を感じる和室が少なくなっているのは寂しいですが、和室にはメリットがたくさんあります。
【和室のメリット】
畳に使われている「い草(イグサ)」の香りには、心を安らげるリラックス効果があると言われ、他にも、調湿作用と断熱性があり、室内が涼しく感じることができます。
また吸音・遮音効果もあり、静かで落ち着く環境になりやすく集中力を持続させる効果が期待できます。
さらに、畳の感触が足裏を刺激し、それが脳を活性化させるとも言われています。
このように和室は、特に小さな子供の発育に関するメリットが多く、子育てや憩いのスペースとして優秀です。
【和室のデメリット】
しかし、和室には、ダニやカビが発生しやすいというデメリットもあります。
これは、畳に調湿作用と断熱性があることで、湿気と熱を畳の中に吸収し溜まりやすくなるからです。
また、畳の目は細かく、埃・フケ・食べカスなどが隙間に入り込みやすくなっており、このゴミが溜まるとダニやカビの栄養源になってしまいます。
室内の環境によっては、畳の中で
・高湿度
・20~30℃くらいの温度
・栄養源が豊富
といった、ダニやカビにとって繁殖しやすい条件が揃いやすくなります。
ダニ・カビが発生しないようにするには、室内を
”ゴミが溜まらないように、こまめに掃除する”
”湿度がこもらないように、こまめに換気する”
ということが大切になります。
和室は、こまめに掃除することでダニやカビの発生を防ぎ、快適な憩いのスペースとなります。
そこで今回は、”和室掃除の簡単な手順”を紹介します。
和室の特徴
和室の掃除をする前に、和室の特徴をおさらいしておきましょう。
大体の洋室の場合、床はフローリング、扉は合板ドア、壁はクロスなどを貼って作られていることが多いです。
和室の場合は、畳や障子・襖といった自然素材のものが使われていることが多いです。
この畳や障子・襖といった素材は非常にデリケートで、除菌スプレーや液体洗剤はもちろん、掃除場所の素材によっては水拭きでも傷んだり、シミができてしまう恐れがあるので、使用しないように注意しましょう。
*どうしても水拭きが必要な時は、きつく絞った雑巾を使用しましょう。
その際は、素早く乾くように、天気が良く、風通しを良くして換気がしっかりできる日にするのがオススメです。
和室の掃除には液体・水分を使った拭き掃除を基本的にしないので、掃除の方法・順番などのポイントを抑えておくと、普段の掃除は比較的簡単にできる場所だと思います。
基本的な流れ
和室の掃除の基本は”上から下へ向かって掃除する”です。
これは、上(天井)から順番に掃除し、高いところの埃やゴミを低いところに落としていき、最後に下(畳)に溜まったゴミを取り除くと効率が良いからです。
まずは基本の通りに掃除していきましょう。
①天井の掃除
最初は、天井・照明カバーなどの高いところから掃除します。
高いところの掃除には、柄の長い(調節できる)シートモップやハンディモップなどで埃を吸着して取るのがオススメです。
ハタキ棒で埃をはたき落としても良いですが、この方法だと埃が舞ってしまうのでマスクを付けるなどの注意が必要です。
天井の角には埃が溜まりやすく、掃除をしていないと蜘蛛の巣が張ってしまう場合もあるので角もキチンと掃除しましょう。
最近の和室の天井には、木目が印刷された(壁)紙が貼られている場合もあります。
(壁)紙に耐水性が無い場合、水拭きすると破れてしまう恐れもあるので注意しましょう。
シートモップを使う際は必ずドライシートを選んで、乾拭きになるようにしてください。
②長押・欄間の掃除
長押(なげし)と欄間(らんま)は乾拭きで汚れを落としましょう。
*長押(なげし)とは、柱と柱を水平方向につなぐ化粧材のことです。
掃除がしにくい場合は、ハタキ棒かハンディモップで埃をはたき落とすのも良いです。
長押に使われている白木は塗装・コーティングが施されていない場合が多く、油分や水分が原因でシミができてしまう恐れがあるので、水拭きはNGです。
*目立つ汚れが付着していて、どうしてもという場合は、きつく絞った雑巾で水拭きをして、その後よく乾かしてください。
③壁の掃除
和室の壁には、塗り壁、漆喰(しっくい)、珪藻土(けいそうど)などが使われている場合が多く、こういった素材は、水拭きで強くこすると表面が崩れたり、ひび割れしたりする恐れがあります。
壁を傷めないように、ハタキで軽く埃を落とすくらいの掃除にしておきましょう。
④障子の掃除
障子(しょうじ)の桟(さん)の部分は、埃が溜まりやすいです。
ハタキ棒で、優しく埃をはたき落としましょう。
障子は木材と紙で作られていており、水分に弱いです。
水拭きをすると変色・劣化したり、障子紙が被れたりする恐れがあるので注意が必要です。
⑤畳の掃除
最後は畳の掃除です。
《掃除機を使う場合》
畳は、掃除機で掃除しても大丈夫ですが、以下の点に注意しましょう。
★掃除機は、畳の目に沿ってかけましょう。
畳の目に逆らって掃除機をかけると、畳が痛む可能性があります。
畳の掃除は、掃除機だけでなく、ほうきで掃き掃除するときや、雑巾で拭き掃除するときも、”畳の目にそって掃除する”のが大原則です。
★畳は1枚1枚丁寧に掃除機をかける。
畳の隙間に入り込んだゴミを取り除くため、1枚1枚ゆっくりと丁寧に時間をかけて掃除機をかけましょう。
丁寧と言っても、力を入れてゴリゴリかけるのは、畳を傷めてしまうので力加減には注意してください。
また、本体を引きずるタイプの掃除機(キャニスター掃除機)も畳を傷める恐れがあるので、使う場合は、本体を手に持って畳の上で引きずらないようにした方が良いでしょう。
★畳の縁(へり)には掃除機をかけない。
畳の縁がある場合は、縁に掃除機をかけると痛む可能性があるので、縁の部分を避けて掃除機をかけましょう。
《拭き掃除をする場合》
畳を拭き掃除をするときは、乾拭きで、掃除機と同様に”畳の目に沿って”優しく拭きましょう。
畳は水分が原因で、変色したり、カビが発生する可能性があるので、水拭きは基本的に行いません。
それでも水拭きをする場合は、雑巾をきつく絞ってから拭きます。
拭き終わったら、すぐに乾燥させましょう。
和室の簡単な掃除の流れは以上です。
”上から下に掃除”していき、最後に畳のゴミを取り除くのが効率よく、基本的な和室掃除のやり方になります。
畳のトラブル対処法
畳の上で水やジュースをこぼしてしまったときは、正しく素早く処置をして畳の傷みやシミ、ダニ・カビの発生を防ぎましょう。
また、カビを見つけたときの対処法も知っておきましょう。
《水をこぼしたとき》
畳の上で水をこぼして濡れてしまった場合は、乾いた布・タオル、水が少量な場合は新聞紙・キッチンペーパーなどで、すぐに水分を拭き取ります。
*この時、強くこすると水分が畳の中に浸透したり、表面が傷む恐れがあります。
拭き取るときに、こするのはやめましょう。
トントンと軽く叩く感じで、水分を吸い取るように拭き取りましょう。
水分をある程度取り除く処置ができたら、ドライヤーや扇風機などを使って乾かします。
《液体をこぼしたとき》
ジュースやコーヒーなどをこぼしてしまった場合は、塩や小麦粉を使って迅速に処置をします。
1. 水分を拭き取る
まず、水をこぼした時と同じように、素早く畳の表面の水分を拭き取ります。
2. 塩・小麦粉を使う
拭き取ったら、畳に残った液体のシミ部分に、塩か小麦粉をまぶします。
(塩や小麦粉が、水分と共に汚れを吸着してくれます)
3. 汚れを掻き出す
歯ブラシやスポンジなどを使って、”畳の目に沿って”汚れを掻き出します。
4. 掃除機をかける
掻き出した汚れ、塩・小麦粉は、掃除機で取り除きます。
5. 水拭きをする
きつく絞った雑巾で水拭きをしましょう。
6. 乾かす
最後に、畳を十分に乾かしましょう。
畳のシミを取り除く基本的な応急処置は、以上です。
醤油などの調味料、血液、ペットのオシッコなども、この方法で対処できます。
シミを残さないためには、とにかく素早く処置をすることがポイントです。
また、ダニ・カビ対策を念入りにしたい場合は、天気の良い日を選んで、畳を外し天気干しをすると、畳の中までしっかり乾燥させることができるので効果的です。
《畳のカビ》
畳に生えてしまったカビは、エタノールを使って掃除します。
①窓を開けて部屋を換気・乾燥させます。
②エタノールを空のスプレーボトルに入れます。
使うエタノールは濃度70〜80%、ドラッグストアやホームセンターで購入できます。
③畳のカビが生えている部分にスプレーし、20分くらい待ちます。
時間をかけるのは、殺菌効果をカビの根まで浸透させるためです。
④歯ブラシなどで畳の目に沿ってカビを掻き出す。
力加減に注意しながら掻き出してください。
⑤畳をしっかり乾燥させる。
《ダニ・カビの発生を予防》
ダニ・カビの発生を予防するには以下の点に気を付けましょう。
★こまめに換気して、湿度を下げる。
特にマンション・団地では湿気がこもりやすいので頻繁に換気しましょう。
★少なくとも3日に1回くらいは、畳の掃除をする。
忙しい方は、ドライシートのフローリングワイパーで、サッと掃除するのも良いです。
ワイパーを使うときも”畳の目に沿って”掃除することを意識しましょう。
ただし、畳の目に入り込んだ埃は取りづらいので、時間があるときには掃除機・ほうき・乾拭きで掃除したほうが良いです。
お掃除ロボットは”畳の目に沿って掃除できない”ので畳を傷める可能性があります、和室では使用しない方が良いでしょう。
★和室で布団を敷いて就寝している場合、布団は敷きっぱなしにしない。
人は寝ているときに汗をかきます。
寝汗が溜まった布団を敷きっぱなしにしていると、畳の湿気が高くなります。
★天気の良い日に、布団と畳を天気干しするのも効果的です。
◆畳と布団の天気干しについての参考リンク
畳のダニを今すぐ撃退!(外部リンク)
まとめ
和室は、水分に弱い分、最初は洋室と比べると掃除がしにくいかもしれませんが、ポイントをおさえて慣れてしまえば、そこまで掃除の手間がかからないと思います。
掃除が行き届いていれば、畳の感触、静音機能、い草の香りとリラックス効果が高く、くつろげる空間になります。
本記事を見て、ちょっとした時間にサッと和室の掃除ができるようになっていただけたら幸いです。
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